異国の湖畔にたたずんで眺める世界 (ヨーロッパ撫子)

孤立したように感じられるこの国で、底をついた日本食の棚を見てため息ついています、それでもこの国、好きになって来ました

こんなところに日本人サッカー選手?スウェーデンで活躍される杉田祐希也さん

 「くれぐれも緑のマフラーを巻いている人の多い車両には乗らないようにね」

 

 と、ウプサラで開催されるサッカーの試合に招待してくれた友人が忠告してくれた。

 

 ストックホルムからウプサラまでは国鉄(SJ)にて40分ぐらいの所要時間である。

 スウェーデンの鉄道を利用するという機会が最近ではあまりなくなったため、電車の時間に合わせるという時間の感覚が鈍くなってきていた。

 大抵は、空いているドアからギリギリで飛び乗るか、電車のドアを鼻先で閉められ地団駄を踏む羽目になるという二種のパターンになる。

 

 次の電車が来るのは三十分後である。

 

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 その日は、ギリギリに飛び込むと言うパターンであった。

 そして、マーフィーの法則のお陰で、当然、飛び込んだ車両は緑のマフラーを巻いている人々で溢れていた。老若男女、多少若男の方が多いが、ちょうど良い具合で混じり合った車両であった。

 

 私は青いマフラーをして来るように言われていた。

 しかし、乗ってはいけないと警告されていた車両に飛び乗ってしまったことを認識した直後、慌ててそれを外してカバンの中に隠し、開いている席に座った。

 正面には緑の人々が座って居たが、通路を隔てた横には、緑マフラーひとり、青黒マフラーひとり、という、その車両にしては希少な組み合わせがあった。

 

 え? この青黒の人、大丈夫かな、全車両対一人では叩きのめされるのではないかな、と他人事ながら危惧してしまった。その二人を観察していたらどうも緑の人が息子で青黒の人が父親らしい。

 

 その父親の方が私に質問した。

 

「どちらのチームを応援しているんだい?」

 

 私は言葉に詰まった。

 私は青黒の応援に加勢することを知り合いに嘆願されていたため、ウプサラに行く電車に乗ったのであった。

「貴方と同じチームよ」と答えたかったが、車両の中では四方八方を緑の猛者(もさ)に囲まれている。

  

 「スウェーデン語がわからないんだね。まあいいよ。Have a nice trip!」

 

 と、父親の方が、その場をとりあえず回収してくれた、振って来たのも彼だが。

 とりあえず、そういうことにしておいた方がこの場では無難であった。

 

 

 さて、青とか黒とか緑とは果たして何の事であろうか。

 

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 緑(と白)はストックホルム南方に存在するサッカーチーム、ハンマルビーIF(スポーツ連盟)Hammarby IF Fotbollである。

 

 世界的に有名らしい元スウェーデン代表ズラタン・イブラヒモビッチが最近、母チームのマルメを買わず、このチームを買った。このことに関して物議が醸されている。

 

 スウェーデンではズラタンの功績を讃える童謡まである。

 

ja.wikipedia.org

 

 青と(黒)はウプサラ市を代表するサッカーチーム、IK(スポーツクラブ)シリウスである。

 正直なところ、このチームがどれほど強いのか私にはよくわからない。上記のような列強に時々勝つこともある、という感覚であろうか。

 しかし、ウプサラ出身のサッカーファンにとっては、IKシリウスへの忠誠は根強い。ウプサラ出身のシリウスサポーターはすぐに判別できる。ラップトップにシリウスのステッカーなどを貼ってあるからである。

  

ja.wikipedia.org

 

 冒頭に言及したように、首に巻くマフラーの色を間違い、間違ったところ(wrong color, wrong place) に出くわせてしまうと危険に遭うこともある。

 

 ストックホルムの列強には上記のハンマルビー、AIK、ユールゴーデンがあるが、これらのチームで反目するファン(サポーター)の間で時々発生する紛争は、時によって、我々、一般市民までを巻き込むことがある。

 

 知り合いのサッカーサポーターたちからあまりネガティブな事を書くなと言われたがストックホルムを訪れる方々に一言、注意事項のみを述べさせていただきたい。

 

反目しているサポーターたちの団体に出遭わせた時は、なるべくその真ん中に入らないように注意されたい。空のビール瓶が飛んで来る可能性もある。

 

 会社の同僚のほとんどはAIKとユールゴーデンのサポーターである。

 

 同じチームを支持するサポーターであれば、業務上で同じ日に大議論をしていたとしても、サッカーの試合があるとなると、一旦休戦して手を繋いで試合に出掛けて行く。

 

 大きな試合がある時は、社内でも、あちらこちらで罵り声と歓声が響いて来る。まったくうるさくて仕事にさらに集中できなくなる。スウェーデン人は通常でも頻繁に罵っているが、この時にはそれが倍増する。

  

 また、親がサポートしていないチームを、子供達がサポートしていたりすると、しつけの方法を間違えた、などと嘆いている親も多々いる。

 

 往来で、同じ色のマフラーをしている人を見掛けると、(普段は、面識の無い人と話すことをあまりしない)スウェーデン人同士でも、「今日、いい試合でしたね!最後のゴールは奇跡でしたね!」などと談話をしたりしている。

 

 果たして、日本でもこのような傾向はあるのであろうか。

 

 私はウプサラ市に知り合いが多い。IKシリウスのサポーターたちにも(何故か)顔見知りが多い。その関連からある日、IKシリウスに日本人選手が迎えられたという話を聞かされた。

 

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 「冗談でしょ?」 と、思わず聞き返したほど驚いた。スウェーデンと日本人のサッカーにおける関連がすぐに結び付けられなかった。

 

 しかし、真実であった。

 

 杉田祐希也さんという埼玉県出身の方で、以下資料に依るとポジションはミッドフィールダー、フォーワードであるという。海外のチームへの所属は初めての事ではなく、以前はスペイン、タイ、イランにおいても活躍されているようであった。

  ja.wikipedia.org

 

 動きが素早いことが強みであるらしく、先週の試合でもゴールを決められたらしい。

 観衆のないゴールであった。

 

 パンデミックの影響で、試合が再開された現在でも観客席に人はいない。

 

  杉田氏がシリウスに移籍した途端に、パンデミックが蔓延し始めた。

 そのため、試合等は三月の中旬から六月の中旬まで中止になってしまい、難儀されたところもあるかもしれない。

 

 シリウスのサポーターたちは、列強チームのサポータ―たちと比較したら大人しいほうだと思う。下の短い動画では「シリウス、こんにちは、こんにちは、こんにちは」と穏やかに唄っている。

  

 www.youtube.com


 

 杉田氏にはウプサラ市で、このサポーターたちに支持されながら、日本の代表として今後も活躍されて欲しい。

 

 

 追記、スウェーデンで電車に乗る時はくれぐれもマフラーの色に気を付けて下さい。

 

 

 写真提供 Pixabay Westendarp, Free-photos, David Mark

 

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